2024/12/06金曜日【本質】「違いから見える自分らしさ」
父と僕、それぞれの生き方
最近、父親のことを考える機会があった。
僕は遅くに生まれた子供だから、父は今70代。建築士として長いキャリアを積み、施工管理まで含めた建築業界の人間だ。
家では仕事の話をほとんどしないけど、今でも週に4日は現場に行き、働いている。これには純粋に尊敬している。やっぱり僕とは違うなと思う。僕はアーティストとして活動していて、父は職人。それぞれの生き方には、根本的な違いがある。
違いは「目的」に現れる
僕たちの違いを簡単に言うなら「目的」だろう。
僕は絵師として、内なる想いを外に視覚化するのが仕事。
一方で父は、探求ではなく、設計や実作という形あるものを重視する。
彼は身体が頑丈で、働くことそのものに意義を見出している。暇を持て余すぐらいなら仕事をしたほうがいいという考え方で、休みの日にはゴルフをするなど、健康的な生活を心掛けている。70代を迎えた今も現役で、しばらくはくたばらないだろうなと感じる。
僕は僕で違う道を選ぶ
僕はというと、身体が弱いほうだ。でも、普通の人よりは体力があると思っている。
ただし、長時間身体を酷使するような働き方には向いていない。やったら周りに迷惑をかけるってわかっているし、無理にそれをしようとは思わない。
そんな父を見ていると、自分とは違う生き方を体現している「良い鏡」だと感じる。物事を観る深さ、つまり「視差」の差も面白い。
父の視差が「手前」にあるなら、僕の視差は「深い」。
同じ人間で、父の子として生まれたけれど、似ていない部分の方が多い。それが逆に興味深い。
深さから広がりへ、僕の制作スタイル
僕自身のアートや生き方に父の影響があるかというと、それほど意識したことはない。
ただ、最近は制作の角度を少し変えようと思っている。
以前は深さを追求していたけど、今は広がりを意識しているんだ。テーマ自体は変わらない。
「女性」「矛盾」「動機」というキーワードをあつかってる。それをどうやって表現しようかと考えるときに、より多くの視点や広がりを持てるような作品にしたいと思っている。
深く掘るだけでなく、幅を持たせる表現。これが今の僕の挑戦だ。
違いが生む価値
父のような生き方、僕のような生き方。
違うからこそ、それぞれの価値があるし、お互いに何かを映し出す存在なのだと思う。
そんなことを改めて感じた時間だった。